【M&A】証券市場から読み取れる、国内における事業拡大の限界

証券市場から読み取れる、国内における事業拡大の限界

 

「MBO」と「IPO」から日本の証券市場を読み解く

少し古い情報ですが、2011年末、日本経済新聞に「MBOで上場廃止最多」(2011年12月14日付)との見出しがあり、2011年にMBOにより上場廃止となる企業は19社となり、3年ぶりに過去最高になるという記事が掲載されていました。
その後、さらに2社から経営陣によるMBOを行う旨が公表されていましたので、この年のMBOは公表ベースも含めると合計21件となりました。
ところで、MBO実施企業がなぜMBOを行うのか、その理由を開示資料などから見てみると、

  • 短期の企業業績に左右されることなく、中長期的視点に立脚した新規事業への進出や不採算事業からの撤退といった事業運営が可能となる
  • 株式市場からの資金調達需要が薄れた
  • 上場維持コスト(J-SOX、IFRS、有価証券報告書の継続開示等に要する費用)が上場維持することにより享受できるメリット(知名度、信用力等)を上回るようになった

などが掲げられています。
MBO実施企業の多くは、成熟期にあり事業構造の転換などを検討している場合が多く、そのため、一時的に収益性が悪化することも考えられ、必ずしも株主・投資家から好感触を得られるとは限らないということを懸念しています。そのため、経営陣としては経営の自由度を確保するため、(一旦)株式市場から退出することを考え、MBOという方法を選択するに至るということはあり得ます。
また、昨今の株価水準により、買収価額の観点からはMBOを実施しやすい環境にあることは事実であり、反面、これは、株主・投資家の立場からすればからすれば必ずしもMBOの際の株式買取り価格が満足できない水準である可能性があることも事実です。つまり、株主・投資家に十分に納得感を与えられるMBOでなければ、「株式市場を軽視している」といった批判がなされることもあり得るということになります。
一方で、2011年中にIPOを果たした企業は、少なくとも36社程あります。
IPOの目的は資金調達に限られるものではありませんが、その調達資金使途としては、

  • 工場などの生産設備の新増設、新システムへの投資などの設備投資資金
  • 借入金の返済原資に充て財務体質を改善するための資金
  • 上場維持コスト(J-SOX、IFRS、有価証券報告書の継続開示等に要する費用)が上場維持することにより享受できるメリット(知名度、信用力等)を上回るようになった

などが掲げられており、資金需要の旺盛な成長期にある企業です、という説明がされています。
企業の成長ステージにより、株式市場をどのように活用するか、どのように関わるかということも異なって然るべきでしょうし、その意味ではIPOによる株式市場への新規参入企業とともにMBOにより株式市場から退出する企業も存在していた方が、健全な株式市場であるのではないか、と個人的には思うのです。

「M&A」と「海外進出」成長へのキーワードはこれしかない!

確かに、昨今の日本の株式市場は魅力が失われておりIPO自体がそもそも非常に少なくなっています。そのような中でMBOの件数だけが増加するということは何かアンバランスな印象を受けることも事実ですが・・・しかし、これは単に株式市場だけでの問題ではなく、日本で事業すること自体の魅力はどこにあるのかといったところまで話は及ぶのかもしれません。

(*1) MBOとは…Management Buy-Out(マネジメント・バイアウト)の頭文字をとったものです。M&Aの一手法で、経営陣が自社の株式や事業部門を買取り、独立することをいいます。
(*2) IPOとは…Initial Public Offering(イニシャル・パブリック・オファリング)の頭文字をとったもので、非上場企業が証券取引所に新規に株式を上場(公開)し、株式市場での取引を開始することをいいます。

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