【M&A】大手企業のM&Aから読み解く、今後の成長戦略

大手企業のM&Aから読み解く、今後の成長戦略

アサヒグループホールディングス株式会社は味の素株式会社から100%子会社であるカルピス株式会社の発行済株式の全部(73,936,871株)を取得する株式売買契約を締結しました(2012年5月8日プレスリリース)。
取得価額は約1,200億円。国内のM&A案件としては、久しぶりのBig Dealでしょうか。実際のクロージングでは、株式価値1,190億円に現預金・運転資金の積み上がり分30億円を加算し、また、カルピスから味の素に対して250億円以上の剰余金の配当を実施する予定であるため、その分を差し引き決済されることになるようです。
これ以前にも、アサヒグループは国内飲料事業の強化を図っており、2010年には「六甲のおいしい水」をハウス食品から、2011年には「六条麦茶」の製造・販売権をカゴメから取得しています。現在の国内飲料事業シェアは国内4位。カルピス株式取得によりアサヒグループの飲料事業の国内シェアは3位に浮上するようです。
一方で、アサヒグループは海外M&Aも活発におこなっており、オーストラリア、ニュージーランドなどのオセアニア地域におけるシェア獲得や、東南アジア(マレーシア)などの成長市場への進出など、グローバル展開を図り飲料事業の強化をしています。
以上のように、国内飲料事業の成長が見込みにくくなっているなかで、マーケットシェア拡大戦略としてM&Aを活用すると同時に、海外進出・展開においてもM&A戦略を活用していることが伺われます。
ところで、カルピスが味の素の完全子会社となったのはいつだったのでしょうか。2007年10月1日、株式交換により味の素の完全子会社となっています。
ここからは数字の遊びとなるのですが・・・。
味の素株式の株式交換直前(2007年9月28日)の終値は、@1,440円でした。また、このときの株式交換比率は、
「味の素(株式交換完全親会社):カルピス(株式交換完全子会社)=1:0.95」となっています。
仮に、味の素がカルピス発行済株式総数である73,936,871株をこの時点で全株取得したとするならば、キャッシュ換算で「73,936,871株×0.95×@1,440円≒1,011億円」、単純に考えれば「1,200億円-1,011億円=189億円・・・(あくまでも仮定の計算ですが、)」、リターンとしては十分?不足?
味の素は、コア事業領域への経営資源を集中する方針であり、この譲渡により得たキャッシュについても、コア事業への投資に振り向けるようです。
さらに、カルピス株式の譲渡は、連結ベースで480億円の減収要因ですが、営業利益、経常利益、当期純利益への影響は軽微であると発表しています。
また、カルピスにとってもアサヒグループ飲料事業の柱として成長戦略を描く方がよりシナジーが高まると判断しているようです。
最終的な投資の成否については、種々の要素を検討しなければならないので、机上の計算だけでは語れませんね・・・机上の空論です。

(注)上記の数値計算は、あくまでも仮定のものです。株式交換の時点で、味の素はカルピス株式を既に19,672,750株所有していたなど、実際の状況とは異なる要素があります。

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