【M&A】企業の成長戦略を多様化するM&Aを実行しよう!

企業の成長戦略を多様化するM&Aを実行しよう!

株式会社日本製紙グループ本社は、完全子会社である日本製紙株式会社を存続会社として合併することを決定しました(2012年4月25日プレスリリース)。
日本製紙グループは、2001年3月、株式移転方式により日本製紙グループと大昭和製グループが完全親会社として株式会社日本ユニパックホールディングを設立し、発足しました。
したがって、日本製紙グループの純粋持株会社制度の導入は、比較的早い時期の事例であると思います。
その後、11年にわたり純粋持株会社体制によりグループ運営にあたってきていましたが、今般のプレスリリースによれば、現状の事業会社の枠組みを変革し、成長分野事業に経営資源を投入することが必要であり、そのために、現状の持株会社制を見直し、日本製紙と合併することにより、

  • グループ全体として今まで以上に迅速な経営資源の配分が可能となる
  • グループが保有する成長分野事業を、国内洋紙事業と並ぶ中核事業として強化することができる

とされています。
純粋持株会社は、戦後制定された独占禁止法により長らく設立が禁止されていたものですが、1997年12月に独占禁止法が改正され、純粋持株会社による企業グループ形成が可能となったものです。
この純粋持株会社体制のメリットとデメリットは次のようなものが考えられます。
(1) メリット

  • グループ全体経営と個別事業の執行が分離できる。
    特定の部門の利益にとらわれない戦略的な本社機能が構築できる、新規事業の立ち上げが容易しやすい等
  • M&A等の意思決定が早まり、実行しやすい。
  • 各子会社への権限の委譲がしやすい。
  • 柔軟な人事制度の導入がしやすい。

(2) デメリット

  • 各子会社(事業会社)間の横の連携がしにくい。
  • 労働条件の交渉について、使用者側の窓口(実際の雇用関係のある子会社なのか、子会社に対して実質的な経営権を有する持株会社(親会社)なのか)が不明となる。
  • 情報の共有化が困難になる場合がある。
  • いわゆる「コングロマリット・ディスカウント」が生じる場合がある。

今般の日本製紙グループの純粋持株会社体制による企業グループ運営の見直しは、長引く国内需要の減退という局面において、メリットよりもデメリットが目立つようになったための対応策と考えられます。

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