事業承継こそが企業成長を加速させる
事業承継実行のタイミングが到来?
先月、経済産業省中小企業庁より中小企業白書(2012)が公表されました。2011年の中小企業を取り巻く環境は東日本大震災の影響による落ち込みから回復基調にあるものの、円高や電力需給の逼迫など懸念材料もあり、中小企業の景況感はほぼ横ばいにあるようです。ただ震災による大打撃や史上最高値を更新するほどの円高といった環境を考えると、日本の中小企業はむしろ大健闘していたのではないでしょうか。やっぱり日本経済を支えているのは中小企業であることを改めて実感した次第です。
さて、ここでいくつか気になった記事を紹介しましょう。まず、中小企業の経営者の平均年齢が上昇傾向にあることです。これは第2章「中小企業に経営を支える取組」の中でデータが示されていますが、概ね経営者(社長)全体の平均年齢は59歳といったところのようです。これが10年前ですと57~58歳、20年前ですと54歳前後となっています。もちろん歳をとっていくのは当たり前のことですが、経営者の交代や若手の起業家が減少している傾向を表しているものと思われます。
事業承継からはじめる経営革新!
つぎに、経営者の経験年数が上がるにつれて減益傾向になっているということです。こちらについても「経営者の経験年数別の利益の傾向」としてデータで示されていますが、経験年数1年以上5年未満の経営者のうち、増益傾向と回答したのが15.1%となっています。一方、経験年数20年以上の経営者のうち増益傾向と回答したのは7.4%です。また、減益傾向あるいは大幅な減益傾向と回答したのは1年以上5年未満の経営者では48.1%、20年以上の経営者では実に65.8%となっています。これは何を意味するのでしょうか。もちろん事業のライフサイクルを考えれば20年以上というと成熟期から衰退期へ向かうのかもしれません。ただ、事業というのは付加価値を創出する仕組です。この仕組を衰退させていいものでしょうか。その事業は社会に貢献してきたからこそ長い期間に亘って継続してきたのではないでしょうか。長年に亘って培ってきた企業の土壌を衰退させてしまうのは大変残念なことではないでしょうか。
それではどのように経営革新に取り組んだら良いのでしょうか。これも同白書の「事業承継を契機とした経営革新の取組」の中にヒントが隠されています。こちらで目を引くのは経営者が何代目かを問わず「新たな顧客層の開拓」と回答した割合が最も高いことです。やはり既存の顧客層のみでは事業は衰退に向かう可能性が高いということでしょう。事業承継を契機としてまず取り組むのが販路拡大であることがわかります。また「新たな事業分野への進出」や「新商品・新サービスの開発、販売」といった回答も上位を占めており経営者の交代により新たな発想を取り込むことも企業を成長させるには必要なことだと考えられます。ですので、経営者交代によるマイナス要因だけでなく、新たな経営者のもと、経営革新に取り組んでみるのも一考の余地があるのではないでしょうか。
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