【M&A】「技術大国・日本」の生き残りM&A戦略

「技術大国・日本」の生き残りM&A戦略

1980年代、半導体産業は日本の基幹産業のひとつに数えられ、「半導体は産業の米」という言葉もありました。
その後、開発期間の短期化をはじめとする開発競争の激化、コスト競争の激化、韓国・台湾勢の追い上げなど、各社とも事業戦略の見直しを図らなければならなくなり、企業グループの枠を超えた統合に乗り出していました。

例えば、エルピーダメモリは、1999年に日立製作所とNECがそれぞれのDRAM事業を統合することによりスタートし、その後、2003年には三菱電機のDRAM事業を譲り受け、生き残りをかけていました。
しかし、半導体不況などの影響を受け業績が伸び悩み、2009年には産業活力再生特別措置法の適用により公的資金の注入を受け、再建を目指します。

ところが状況は好転せず、2012年2月27日会社更生法の適用申請を東京地方裁判所に申し立て、一次入札・二次入札の結果、スポンサー企業として米国企業であるマイクロン・テクノロジーが選定されています。

実はこのマイクロン・テクノロジー、以前にもエルピーダとの資本・業務提携を模索していたということです。マイクロンはDRAMの開発競争に後れをとっており、エルピーダと提携することにより生き残りをはかろうとしていたようです。
このタイミングであればエルピーダが交渉優位に立てていたかもしれないというのです。

「産業の米」とまでいわれた日本の半導体産業ですが、当然、事業に盛衰はつきものです。その盛衰の荒波を、国内同業他社との統合、国による政策的事業再生支援により乗り切ろうとしていたわけですが、もはや国内目線で見ていては根本的な解決とならなかったということでしょうか。
半導体に限らず、世界的規模での産業構造の転換、グローバル競争に太刀打ちするためには、M&A戦略もグローバルな目線で検討せざるを得ないということの一例なのかもしれません。

さて、ルネサスエレクトロニクス。日立製作所と三菱電機のシステムLSI事業などの統合会社であったルネサステクノロジとNEC系のNECエレクトロニクスが統合してできた会社です。こちらも、資本増強策、再建計画を策定中との新聞報道がなされています。
「技術」を強みにしてきた日本企業として再生へのスタートをどう切るか、注目したいと思います。

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